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脳科学にアプローチ    ③

年齢を重ねても、脳は進化する!

 

 

 

動きを洗練させることによって、脳が進化する!

 

 

 

 

 

『動きが脳を変える 活力と変化を生みだすニューロ・ムーブメント』 の読書レポート第三弾です。

 

 

 

 

著者アナット・バニエルさんは、脳を目覚めさせるための方法として、「9つの大事なこと」を提案しています。

 

 

 

 

 

1.動きに注意を向ける

 

2.学びのスイッチをオンにする

 

3.力をぬいてわずかな違いに気づく

 

4.バリエーションをとりいれる

 

5.ゆっくりの力を知る

 

6.内なる熱狂をよびさます

 

7.目標設定はゆるやかに

 

8.夢をみる力,想像する力

 

9. 気づいているということ

 

 

 

 

 

 

 

今回はとっても実践的な3番から5番をレポートしたいと思います。

 

 

 

3. 力をぬいてわずかな違いに気づく

 

 

 

楽器のレッスンで力を抜いて!

 

というのはよく言われます。

 

 

 

 

どうして力をぬかなければならないのでしょうか?

 

 

 

 

力が入っていると指が自由にうごかないから?

 

力みは故障の原因になるから?

 

チェロですと、ポジション移動の時に引っかかってうまくいかなかったり!

 

 

 

 

 

 

これらは、もちろん正しいと思うのですが、ここでは、少し違う視点から書かれています。

 

 

 

 

力を抜かなければ、わずかな違いに気づけない、ということです。

 

このような文章がありました。

 

 

 

百年以上前、ドイツの生理学者、エルンスト・ウェーバーは、刺激に対する感受性はベースにある刺激が大きくなるほど鈍ることを明らかにしました。

 

 

重さ1キロ程の本を手に取り、てのひらにのせます。

 

 

本の重みが、ベースとなる刺激と考えてください。

 

 

この本の上にペンを1本おいてみても、本を支えている筋肉や関節からの感覚が強すぎるため、ペンの重さを感じないはずです。脳が違いを感知できないのです。

 

 

ところが、本の代わりに30グラムほどの手紙を手に乗せ、その上に先ほどのペンを置くと、脳は重さにしっかり気づきます。

 

実験してみました!

 

確かに!

 

 

 

チェロの初心者の方に対する指導で、このような方法があり、私もとりいれています。

 

 

 

右手!弓のかわりに、鉛筆を持って、弓の持ち方の練習をする。

左手!左指は弦をおさえずに、まず並べてみる。

 

 

 

重い弓を持つ、太い弦を押さえるということで力が入ってしまうことをさけているのですが、この方法とても効果があります。

 

 

 

この原理が使われていたのですね。

 

 

 

 

 

私自身も、おおざっぱではなく、力をぬいて、丁寧に、繊細に、わずかな違いを感じながら練習してみたいと思います。

4. バリエーションをとりいれる

 

 

 

バリエーションとは日本語に訳すと「変化」となります。

 

 

 

 

 

前回のブログの 「2. 学びのスイッチをオンにする」 の項で、人間は同じことを繰り返していると、やはり飽きてしまう。

 

それが活力の減退を生む、ということを書きました。

 

 

 

 

 

ここでは、バリエーションは、繰り返しとは反対の概念、としています。

 

 

 

 

 

脳はバリエーションを新しい情報として活用します。

 

 

 

何かを習得したい時や、技術にさらに磨きをかけたい時は、バリエーションを取り入れることが上達のカギを握っています、と書かれています。

 

 

 

 

さらにさまざまな言葉が紹介されています。

 

 

 

 

運動技能とは、脳のどこかに刻まれている動きの公式ではない。

 

それは動きの課題を解決する能力であり、さまざまなバリエーションの中から答えを見つけだす能力だ。

 

by ニコライ・A・ベルンシュテイン(運動科学の先駆者)

 

 

 

 

 

 

 

 

遅い曲なら速く弾く、均整の取れた曲なら思い切ってパターンを崩して情熱的に弾いてみましょう。

 

間違いを自分に許すのは簡単ではないが、そのようにすると、驚くほど効率的に変化がおとずれます。

 

by ウイリアム・ウェストニー(ピアニスト、「ミスタッチを恐れるな」の著者、)

 

 

 

 

 

 

 

人は間違いをすることで、人生をより深く体験できる。

 

by ラルフ・アイロン(南アフリカの女性作家)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『失敗は成功のもと』ということわざを思い出しました。

 

 

私たち弦楽器奏者は、ボーイングのバリエーションという練習方法に取り組みます。

 

 

 

が、ここではさらに進んで、

 

 

 

先生に言われた通り弾かない、

 

お手本通りに弾かない、

 

わざと違う弾き方をしてみる、

 

わざと間違ってみる、

 

 

 

とか、そういう感じでしょうか。

 

 

 

 

 

うーん、そんな練習したことないけどー??

 

 

やってみます!

5. ゆっくりの力を知る

 

 

 

 

私は毎朝、その日やらなければならないことや、やりたいことを紙に書きだし、それをチェックしながら、スケジュールをこなします。

 

 

これダメ??

 

 

 

 

 

こんな風に書かれています。

 

 

 

 

家事、食事、通勤、仕事、子供の送迎、趣味、友達づきあい、、、とつぎからつぎに活動していると、「しなければならないこと」をこなすことに全力を注ぐものです。

 

 

私たちは、「することリスト」の奴隷になり、いま・ここにしっかりと「存在する人」ではなく、「こなす人」になってしまいます。

 

 

 

 

 

なっています!

 

 

 

 

急いでいると、人生を味わうために必要な感じるための時間が無くなり、感じることこそが活力の真髄であることを忘れてしまいます。

 

 

 

 

忘れていました!

 

 

 

 

何かを速くするとき、脳は以前に経験したことをくりかえしているだけです。

 

速くするとき人は、すでに知っていることしかできません。

 

新しいことが入る余地がないのです。

 

 

 

科学の研究によると、0.25秒より速く反応するとき、人は自動操縦モードだということです。

 

注意を向けて反応するためには0.5秒以上かかるそうです。

 

速く動くと、自分が何をしているか知ることはできません。

 

知る前に次の行動に移っています。

 

 

 

 

 

なるほど!

 

 

 

 

私は音大時代、実技試験の前だったと思うのですが、先生に4倍の速度(ゆっくりにほうに)で練習しなさい、と言われたことがあります。

 

 

 

4倍って、すっごくゆっくりです。

 

 

 

でも、メトロノームをかけ、

 

4倍の遅さで練習したところ、

 

とてもいろいろな発見があり、

 

そのうえ焦っていた気持ちが消え(催眠効果??)、

 

いい練習ができたなあと思った記憶があります。

 

 

 

 

 

 

インテンポで4回弾くより、同じ時間をかけて、ゆっーくり1回のほうがずっとよかったのです。

 

 

 

 

今も実践しています!

 

 

これはおすすめ!

今回のまとめ

 

 

 

生きている中で、

 

困難、イライラ、退屈が起こったとき、

 

また、何かを習得したいけれど、

 

うまくいかない、と感じた時、

 

力を抜いて、スローダウンし、

 

バリエーション(変化)を取り入れて、

 

自分の感じていること、

 

体の動きに気づいてみたらどうでしょうか?

この本の中には、ステキな名言がいくつか載せられています。

 

 

私のお気に入りをひとつ。

 

 

 

 

 

スローダウンして人生を楽しむことだ

 

急ぐと景色が見えなくなるばかりか、

 

どこに向かっているのか、

 

なぜそこに向かうのかさえもわからなくなる

 

by エディー・カンター(俳優・コメディアン)

 

今日は「9つの大事なこと」の3番、4番、5番 をレポートしました。

 

次回は6番から、おたのしみに!

 

 

 

 

 

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