カルテットのコンサートのためにラフマニノフの『ボカリーズ』の編曲をしました。
チェロでメロディーを弾くようにアレンジしてほしいと言われたので。
ラフマニノフの『ボカリーズ』、人気の小品です。
ボカリーズとは歌詞はなく母音でけで歌われる歌のことです。
歌の曲なのですが、チェロでよく弾かれます。
チェロの小品といえばなんといってもサンサーンスの『白鳥』が有名です。
チェロとピアノ(オリジナルはチェロとピアノ2台)の曲ですが、もともと小品として書かれたわけではなく『動物の謝肉祭』という二台のピアノと管弦楽の中に出てくる一曲です。
あと、チェロのために書かれた小品といえば、フォーレの『シチリアーノ』という素敵な曲があります。
この曲は最初チェロのために書かれたのですが、のちにオーケストラによって演奏される劇付随音楽『ペレアスとメリザンド』という組曲の中に挿入され、人気になったのだそうです。
そこでフルートでメロディーを吹くようにアレンジされたので、フルートので小品として吹かれることも多く、フルートのために書かれた小品と思ってらっしゃる方も多いと思いますが、もともとはチェロのために書かれたものなのです。
有名な作曲家はピアニストが多いので、ピアノの有名な小品はもちろんたくさんあるのですが、ヴァイオリンは?と言えば、クライスラーやパガニーニ、たくさん曲を書いていてコンサートで演奏され、人気です。
チェロはどうかと言えば、ハンガリーにポッパーというチェリストがいてたくさん小品を書いていますが、チェリスト以外はあまり知らないかも、という残念な状況です。
チェリストでかつ有名な作曲家といえば、『メヌエット』で有名なボッケリーニと『天国の地獄』で有名なオッフェンバックぐらいでしょうか?
いずれの曲も、チェロのソロ曲ではありません。残念!
その他の往年のチェリストやチェロの先生達は、もちろんたくさんチェロの曲を書いてくれていて、楽譜は残っているのですが、知名度がなくリクエストが来るような人気曲はありません。これも残念!
チェリストでない、作曲家は?と言えばチェロソナタやチェロ協奏曲はそれぞれに書いてくれていて人気曲はたくさんあるのですが、小品となると『白鳥』と『シチリアーノ』ぐらいしかないのです。またまた残念!
そこでチェリストは歌の曲ゃ他の楽器の小品をどんどんアレンジして弾くことになり、フォーレの『夢のあとに』とか、ラフマニノフの『ボカリーズ』とかオリジナルの形よりも人気があったりして、チェロの曲かと思ってた、なんてよく言われます。
私もアレンジ曲をどんどん弾きますし、出版されている物では飽き足らず、自分でもアレンジして演奏したりもします。
でも最近はYou Tube やApple Musicなんかで、以前には絶対聴くことができなかった昔のチェリストやチェロの先生の書いた小品が結構出てくるのです。
すごい時代になりました。
弾きやすくて素敵な小品を発掘して演奏してみたいです!
一説によると、モーツァルトは20代の後半まで、バッハやヘンデルの音楽を知らなかったそうですよ。CDプレイヤーもスマホもなかったから・・・。